「技能実習制度では、移行対象職種にならなかったが、特定技能なら受け入れできるのでは?」
本ページは、そんな企業様向けのページです。
技能実習制度はあくまでも研修の制度のため、実習生に習得してもらう技能ありきです。 その結果、移行対象職種がかなり限定されており、複数年での受け入れができない企業もありました。
しかし、今回の新たな在留資格「特定技能」は、労働者のための在留資格。 受け入れ対象企業も、職種ではなく、業種区分になっています。
今回は自社でも受け入れできるのでは?とお考えの企業様向けに、特定技能活用に向けた課題などをお話ししたいと思います。
<目次> |
まずは14業種をチェック |
問題はどこから特定技能人材を確保するか? |
登録支援機関の選定が重要 |
まずは14業種をチェック
特定技能人材の雇用が認められているのは、現在14業種です。まずは、この14業種に自社事業が含まれているかをチェックする必要があります。
この14業種に具体的にどのような業種が含まれるかは、それぞれ日本標準産業分類をもとに指定されています。(介護、ビルクリーニング、造船・船用工業、航空を除く)
日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)
管轄官庁 | 業種 | 該当する産業分類 |
厚労省(2業種) | 介護 | 「介護技能評価試験(仮称)」や「介護福祉士養成施設修了」等の試験合格等により確認された技能を要する身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)の業務 |
ビルクリーニング | 「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」の試験合格により確認された技能を要するものであって、多数の利用者が利用する建築物(住宅を除く。)の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保及 び保全の向上を目的として、場所、部位、建材、汚れ等の違いに対し、方法、洗剤及 び用具を適切に選択して清掃作業を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する業務をいう。 | |
経産省(3業種) | 素形材産業 | 2194 鋳型製造業(中子を含む) 225 鉄素形材製造業 235 非鉄金属素形材製造業 2424 作業工具製造業 2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く) 245 金属素形材製品製造業 2465 金属熱処理業 2534 工業窯炉製造業 2592 弁・同附属品製造業 2651 鋳造装置製造業 2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業 2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業 2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む) 3295 工業用模型製造業 |
産業機械製造業 | 2422 機械刃物製造業 248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業 25 はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。) 26 生産用機械器具製造業(ただし、素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。) 27 業務用機械器具製造業(ただし、以下に掲げられた業種に限る。) 270 管理、補助的経済活動を行う事業所(27業務用機械器具製造業) 271 事務用機械器具製造業 272 サービス用・娯楽用機械器具製造業 273 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業 275 光学機械器具・レンズ製造業 |
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電気・電子情報関連産業 | 28 電子部品・デバイス・電子回路製造業 29 電気機械器具製造業(ただし、2922 内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く。) 30 情報通信機械器具製造業 |
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国交省(5業種) | 建設 | D 建設業 |
造船・船用工業 | 造船・舶用工業分野特定技能1号試験(仮称)の試験合格又は以下の技能実習2号移行対象職種・作業修了により確認された技能を要する業務 -溶接(手溶接、半自動溶接) -塗装(金属塗装作業、噴霧塗装作業) -鉄工(構造物鉄工作業) -仕上げ(治工具仕上げ作業、金型仕上げ作業、機械組立仕上げ作業) -機械加工(普通旋盤作業、数値制御旋盤作業、フライス盤作業、マシニングセンタ作業) -電気機器組立て(回転電機組立て作業、変圧器組立て作業、配電盤・制御盤組立て作業、開閉制御器具組立て作業、回転電機巻線製作作業) |
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自動車整備 | 891 自動車整備業 | |
航空 | 航空分野技能評価試験(仮称)(空港グランドハンドリング)・航空分野技能評価試験(仮称)(航空機整備)の試験合格又は「空港グランドハンドリング職種」の技能実習2号移行対象職種・作業修了により確認された技能を要する業務 | |
宿泊 | 751 旅館、ホテル 759 その他の宿泊業 |
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農水省(4業種) | 農業 | 01 農業 |
漁業 | 03 漁業(水産養殖業を除く) 04 水産養殖業 |
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飲食料品製造業 | 09 食料品製造業 101 清涼飲料製造業 103 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く) 104 製氷業 5861 菓子小売業(製造小売) 5863 パン小売業(製造小売) 5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業 |
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外食業 | 76 飲食店 77 持ち帰り・配達飲食サービス業 |
これらを見ますと、同一業界内でもかなり業種が広がっており、これまでの技能実習制度では対象とされていなかった業種もかなりの範囲で含まれていることがわかります。
まずは自社事業が、これらのいずれかに該当するかをチェックしてください。
問題はどこから特定技能人材を確保するか?
技能実習制度では受け入れておらず、特定技能から受け入れを開始する企業様にとって一番の課題はこの点です。技能実習生を既に受け入れている企業様の場合は、以下のような人材確保のルートがあります。
(1) 今いる技能実習生(3年目/5年目を迎える実習生)を特定技能に在留資格変更
(2) 監理団体経由で過去に自社に勤務していた技能実習2号修了者を再募集
(3) 監理団体もしくは人材紹介会社等経由で当該分野の技能実習2号修了者を新規募集
(4) 国内の留学生等で試験合格者を募集
(5) 海外の試験合格者を募集
現在、まだ試験が実施されていないため、(4)と(5)は現実的に難しく、有効な手段は(1)〜(3)となるのですが、これまで技能実習生を受け入れしていない企業の場合、(1)と(2)は対象がいませんので、必然的に(3)しかルートがありません。
しかしながら、この(3)も実際には非常に困難でして、これまで監理団体と付き合いのない企業様からしますと、、どの監理団体が当該業種の人材を確保できるのか、どの程度の調達力を持っているのかが見えません。
実際の話をしますと、監理団体自体には調達能力はなく、各現地国の送り出し機関が人材確保を担っていますので、監理団体の情報だけでは実際の調達力はわかりません。
この点の見極めが非常に難しいところです。
また、特定技能の場合は、技能実習制度における監理団体のような役割をするサポート機関「登録支援機関」が作られることになります。
こちらは、監理団体だけでなく、行政書士などの士業や人材会社、コンサルティング会社等が登録申請すると見られており、これら登録支援機関などが、各現地国の送り出し機関や教育機関等と提携して人材確保のご提案を行ってくると見られています。
登録支援機関の選定が重要
技能実習経験のない企業様の場合、かなり重要になるのが登録支援機関の選定です。
登録支援機関とは、いわば特定技能における監理団体と考えるとシンプルです。
技能研修ではないので、監理団体ほどの細かな監督指導は想定されていませんが、特定技能人材を雇用するにあたっての各種サポートを行います。
技能実習制度の場合は実習計画という研修予定計画を作成・提出する必要があり、これを監理団体が担っていました。これと同様に、特定技能の場合は、雇用する企業に対して、支援計画というものを作成することや、特定技能1号外国人が安定的・円滑な活動を行うことができるようにするための日常生活上、職業生活上又は社会生活上の支援が義務付けられています。
この作業は企業自身で行うこともできますが、登録支援機関に委託することもできます。
これらの業務は煩雑であり、さらには外国人のフォローを伴う作業であることから、多くの企業が登録支援機関に業務委託をすると見られている状況です。
特に技能実習経験のない企業の場合は、登録支援機関を利用しないと、人材のフォロー等を含め、かなり現場業務にも混乱をきたすと思われます。
ただし、現場での最大の問題は、この登録支援機関もこれから登録申請が始まるため、有資格者が未確定であり、さらには、各々の業務レベルも全く見えないことです。
登録支援機関は、監理団体よりも申請基準が緩やかであり、行政書士などの士業も含まれるなど非常に裾野が広くなっているため、今後膨大な数の申請登録がなされると見られています。その中から十分な業務レベル・知見等を有する登録支援機関を見いだすのは、非常に困難と言わざるを得ません。
では、登録支援機関にも重複申請した監理団体なら良いのか、というと監理団体自体もビジネスレベルが伴っていないケースも多いため、これもなんとも言えません。
特定技能は研修制度ではなく、労働者の在留資格ですから、企業側はよりビジネス的な対応を求めるでしょうし、その点からすると人材会社などの一般企業が母体となった登録支援機関の方がビジネスレベルや提案力が高いことも十分考えられます。
今後、当サイトでは監理団体だけでなく、登録支援機関も随時登録していきたいと考えていますので、ご参考にしていただければ幸いです。
以上、大枠ではありますが、「技能実習制度では、受け入れ対象職種にならなかったが、特定技能なら受け入れできるのでは?」とお考えの企業様向けの解説となります。
これまで技能実習制度では受け入れできなかった企業様にとっては、かなり期待値の高い特定技能ですが、同様のお考えをお持ちの企業様も多く、また当面は対象人材が技能実習2号修了者に限られるため、相当の過熱ぶりが予想されます。過度に煽られることなく、冷静に見極めていくことが重要です。
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