技能実習生を初めて受け入れしたい企業様

「技能実習生を初めて受け入れしたい!」

 

本ページはそんな企業様向けのページです。

一般的な話としては、実習制度の概要や書類等を説明することがほとんどですが、それらは最終的に監理団体が行ってくれます。それよりも重要なことは失敗しないために事前に何をすれば良いか、ですよね。

本ページでは、その観点からご説明します。

<目次>
対象職種・作業チェックと監理団体について
意外と重要な受け入れ国と送り出し機関について
一番大事な賃金について

 


対象職種・作業チェックと監理団体について

 

 初めて技能実習生の受け入れを考える場合、最初にすべきことは、「自社の事業内容が技能実習の対象職種・作業に該当するかのチェック」です。

 対象職種に該当しなければ、そもそも受け入れできませんから、これは大前提となります。(職種・作業の一覧は以下のリンクをご覧ください。)

技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能実習評価試験試験基準(厚生労働省

 しかし、この該当チェックが非常に難しいところでして、基本的には、使用している機械や機材、業務内容から該当職種・作業があるかをチェックするのですが、企業側ではなかなか見極めができません。

 通常、このチェック作業は、監理団体が行ってくれます。(監理団体というのは、監理という文字のとおり、 「技能実習制度がきちんと運用されているかを監督し、取り締まる団体」のことです。)

 それならば監理団体任せでいいじゃないかと思われるかもしれませんが、実は、この“監理団体選び”が非常に難しいところでして、団体だけでなく、担当者個々人によってかなり対応の内容やレベルに差があるのが実態です。

 法令遵守は当然ですが、法令を遵守した上で企業ニーズのバランスをうまく考慮してくれる担当者さんであれば良いのですが、杓子定規でお役所仕事のような対応をされるケースもあります。

 そのような場合に、ろくに業務内容も聞かないまま、職種・作業が該当しないと一蹴されてしまうケースもあり、ここが担当者によって大きく違うのが難点です。

 本当に該当しないのであれば仕方ありませんが、「この部分は該当するから、こういう作業計画なら受け入れ可能性がありますよ」と前向きな提案をしてくれる担当者かどうかで話が全く違ってきます。
※ しばしば、このようなケースがあるため、当サイトでは実習生受け入れ可否の簡易診断サービスをご提供しています。セカンドオピニオンとして事前に知っておいていただくだけでも監理団体との相談時にだいぶ対応も変わってきます。ご要望等ございましたらお気軽にお問い合わせください。(お問い合わせはこちら

 

 また、監理団体自体も、対応している地域や職種が異なるため、問い合わせしても「ウチはその分野はやってません」とお断りされるケースもあります。
※ 当サイトでは、エリアごとに監理団体を検索できるだけでなく、各監理団体が対応している職種ごとの検索もできるようにしています。職種別の検索はこちらのページにて可能です。(職種別検索ページはこちら)

 

  これらの問題は担当者さん個々人の資質もありますが、根本的には監理団体全体としてバランスのとれたビジネスマインドを持っているか次第です。

  このような話をすると、「この制度は、研修事業であり、受け入れ企業(実習実施者)はお客様ではない」「監理団体はあくまでも監督指導する立場だ」という声が聞かれます。

  もちろん、監理団体の役割は、適正な技能実習が行われているかを監理(監督指導)することであり、企業側を過剰にお客様扱いして言いなりになるようなことは本末転倒です。過剰なお客様対応の結果、行政処分にでもなってしまえば、企業・実習生いずれにとってもマイナスでしかありません。

  しかしながら、監督指導が役割だからと言って、月1回程度訪問し、現場に対して上から目線でご指導を言われるだけなら、企業からすれば、高額の監理費を支払う意味がないと感じます。最低限のお役所的監理をするだけなら、最低限の費用にして欲しいところですが、実際にはそうはなりません。

  企業からすれば、文化背景の違う実習生に対してもきちんと教育や指導のサポート、実習生が問題を起こした時に対応、できれば問題を起こす前に対策をして欲しいところですが、そういったことも過剰なお客様サービスと感じ、拒否感を示す監理団体もあります。

  これも結果として、実習生が現場に馴染めなかったり、サポートがないまま、最悪のケースでは途中帰国させられてしまうなど、これも企業・実習生の双方にマイナスの結果をもたらします。

 ですので、結局のところ、双方の視点でのバランス感覚が重要なのです。
(ご要望がございましたら、監理団体のご紹介もいたします。)

 


意外と重要な受け入れ国と送り出し機関について

 

 さて、職種チェックが終わった後にもう1つ考えておいた方が良いことがあります。それは「受け入れ国」です。 どこの国の方を受け入れるか?ということですね。

 技能実習制度の場合、技能実習生たちは送り出し機関と呼ばれる各現地国の機関を通じて来日します。 この送り出し機関は、各国にかなりの数が存在しており、監理団体もそれぞれ契約先が違うのですが、 実は、この送り出し機関の規模や体制によっても、企業側の負担が大きく変わってきます。

 

 海外人材を活用する上で、やはり一番の課題は”言葉の壁”です。 実習生たちは日本語を勉強してきてはいますが、決してペラペラではありませんし、 日本側も、相手国の言葉は話せないことがほとんどです。

 とはいえ、配属当初ですとか、急病や何かの緊急時などにどうしても現地語で対応してほしいケースがあります。 そんな時、通常は監理団体にフォローを依頼するのですが、実は監理団体自体が十分な通訳やスタッフを有しておらず、送り出し機関のフォローに頼るケースがあるのです。

 なぜ、送り出し機関のフォローに頼るかというと、送り出し機関の中には来日した実習生フォローのために日本全国にサポート体制を構築しているところがあるためです。そのような送り出し機関であれば、監理団体と連携して現地語でのフォロー対応が可能な体制になっているのです。

 日本の企業側から見ると、あくまでもカウンターパートは監理団体であり、その裏にいる送り出し機関の存在はなかなか見えてきませんが、このような背景から送り出し機関の質によっても、企業側の負担は大きく変わります。この点、監理団体は言及したがりませんが、非常に重要なポイントです。

 ただし、そこまでの規模を持つ送り出し機関となりますと、ほとんどベトナムになります。 かつては中国が最大の送り出し国でしたが、現地の人件費高騰もあり、今やベトナムが一番手です。 他の国は、まだ送り出し規模が大きくないことから、そこまでの事業体制を構築できているところはあまりありません。

 企業様の事情などで送り出し国の指定がなければ、大半の職種であればベトナムを選択するのが無難ではあります。 (もちろん例外もあります。モンゴルやフィリピンなどの介護、フィリピンの自動車整備、カンボジアの農業などです。)

 


一番大事な賃金について

 

 最後に一番大事なポイントとして賃金についてお伝えしたいと思います。

 技能実習制度の場合、最低賃金以上と決められています。この最低賃金は、基本は都道府県別に発表されていますが、製造業などで業種別の最低賃金もあります。このいずれか高い方が最低水準値です。

 監理団体の中には、最低賃金でいいですよ、と伝えるところもあり、企業側もなるべくコストを下げたいとの考えから、最低賃金で求人を行うケースがありますが、これはあまりオススメできないケースであり、そもそも見るべきポイントを見誤っています。

 技能実習制度において、一番考慮しないといけない最低水準は、最低賃金ではなく、実質的な手取り額です。

 

 実習生たちにも生活や現地に残してきた家族があり、それぞれの背景事情があります。日本での生活費だけでなく、実家への仕送りだったり、渡航前に要した費用の返済であったりと、実習生たちにもコスト構造が存在します。

 通常の給与に残業代(月平均)を加え、そこから社会保険料や家賃、水道光熱費、食費等を差し引いてどれだけ残るか?これが彼らにとって一番重要な指標です。彼らに必要なのは最低賃金ではなく、毎月最低限必要な金額を上回る手取り額なのです。

 これがクリアされていれば、実習生たちも安心して仕事に打ち込むことができます。このことは、勤務態度や失踪などにも大きく影響します。企業側が、この視点を持っているか否かで状況は大きく異なってくるのです。

 では、実際どれくらいの水準ならば良いのか、というと、これはある程度水準は見えているのですが、業界や企業様によっても異なるため、公開はできません。詳しくお知りになりたい方はお問い合わせください。

 


 以上が、技能実習制度での受け入れをこれから始めたい企業様向けの解説となります。

 テクニカルな内容はかなり省略していますが、割り切って言えば、それらテクニカルなことは監理団体や実務家が行ってくれます。企業側にとって、それよりも大事なことは本質的に間違えないことです。

 ご不明な点やご相談等がございましたら、こちらのフォームよりお気軽にお問い合わせください(クリックするとフォームが開きます)

 

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